祈りのミラー効果

近年、「祈り」という非物質的な想念が私たちにどのような物質的な影響を及ぼすかという科学的研究が行われ、複数の人が同じ意図で祈ることによって、病気の快復を早めたり、バイオレンスや犯罪を減少させたりするできることがわかってきました。

そして、驚いたことに、祈りの実験に携わり、他人の幸せのために祈った人たちの人生にポジティブな変化が起きたのだそうです。実験を行ったリン・マックタガート氏は、この現象を、Mirror Effect(鏡効果)と呼んでいます。自分の発したポジティブな思いが、鏡に反射されるかのように自分に戻ってくる、という意味です。

自分の幸福を実現するために他人の幸福を祈る・・・というのは、その祈りが純粋でないので、その効果についてはわかりませんが、自分への見返りを考えずに他人の幸せを心から祈る純粋な愛の思いは、必ず予期せぬところから自分に戻ってくるそうです。

遺伝子研究の世界的な功績を遺され、2021年4月に85歳でご逝去された筑波大学名誉教授の村上和雄先生も、生前のご研究から、ポジティブな心がポジティブな遺伝子のスイッチをオンにすることや思いが遺伝子に伝わること、祈りには偉大な力があることなどについて、情熱的に語っておられました。

私たちの心は、ラジオ放送局のようなもので、思い(電波)を常時発信しつづけています。そして、必ず誰かに何らかの影響を与えています。こういうことを学校では教わらなかったので、不思議な話、スピリチュアルな世界の話と思われるかもしれませんが、100年ほど前から、量子物理学の世界では、思い(意識)と物質の関係などについての研究が行われてきました。

心の世界は、まだまだ未知の世界で、科学的には実証されていないことが多々あり、祈りが実際にどのように日常の生活に物理的な変化(病気が治ったり、良い仕事が見つかったりなど)をもたらすのか、そのメカニズムについては解明されていませんが、少なくとも、祈りが、祈る人にとっても、祈られる人にとっても、良い変化をもたらすことだけは明らかになりました。

参考文献:

『パワー・オブ・エイト――最新科学でわかった「意識」が起こす奇跡』
リン・マクタガート著

『人は何のために「祈る」のか』 村上和雄著