臨床催眠療法と催眠療法の違い

「臨床催眠療法(クリニカルヒプノセラピー)は催眠療法(ヒプノセラピー)とどう違うんですか?」とのご質問をよくいただくのですが、基本は同じです。違うのは、臨床催眠療法の方がより学問的で、オーストラリアでは、医者が患者に臨床催眠療法を勧めることもあります。

日本で「ヒプノセラピー」というと、前世療法やインナーチャイルド療法などが有名で、スピリチュアル系の人たちの間でよく知られている心理療法ですが、私が学んだ「クリニカル ヒプノセラピー」は、同じ催眠療法でも、まったくスピリチュアルではないアカデミックなものでした。

先生の中にも、生徒の中にも、スピリチュアルな人たちと、唯物主義の人たちの両方がいましたが、スピリチュアルなものは政府から学問として認められないため、科学的なアプローチでなければならず、スピリチュアルな人にとっては、物足りないものだったかもしれません。「退行催眠中にクライアントが“前世”について語ることがあるが、それはクライアントの脳が作りあげたストーリーにしかすぎない。でも、それが症状の改善につながるならそれでいいのだ」と説明されていました。

臨床催眠療法コースには、メディカル サイエンスの科目があり、よく扱う病気の種類、症状、薬の名前などについても学びました。また、豪州政府認定の資格を得るためには、インターンとして臨床経験を100時間以上しなければならず、毎月指導教官に臨床事例を報告して指導を受けなければなりませんでした。私が受講した政府認定資格が得られるコースは、卒業までに最低2年かかるコースでした。

私の場合、2科目ずつぐらい勉強していたので、卒業までに約7年かかってしまったのですが、その後、日本語で勉強しなおしたいと思い、日本のヒプノセラピースクールのコースを受講し、前世療法などについても学びました。人間の潜在意識の領域は、科学的にまだ十分に解明されていない領域のため、アカデミックなアプローチと、スピリチュアルなアプローチ、その両方が大切だと私は考えています。