ハートとマインドの違い
ハートとマインドの違いについて、私が経験したことをお話します。
息子を出産したときのことです。
オーストラリアでは、産後普通はすぐに退院するのですが、私の場合は難産で(あとで主治医から「元気そうだったから出血多量に気づかなかった。普通なら輸血していた」と言われました)、1週間病院でゆっくりさせてもらいました。
そして、退院して3日後、夫がインドに5週間出張しました。私の仕事の都合で、夏休みに出張してもらうしかなかったから、「頑張ってね!」と言って、笑顔で見送りました。
そこまではよかったのですが、駅で夫を車から降ろして見送ったとたんに、私の心臓がバクバクし始めました。それまで経験したことのない強さと速さでバクバク鼓動し続けたので、すごく不安になりました。
家に帰ってすぐに、友達のお母さんから電話があって、私の症状を伝えたら、「それはAnxiety Attack(不安発作)よ」と言われたので、ちょっと安心したのですが、頭では「5週間一人でも大丈夫」と思っているのに、「私って本当はそんなに不安を感じてるの?」と、不思議な感覚でした。
考えてみると、確かに不安な材料はたくさんありました。私の両親は日本だし、夫の母はすでに他界していて、義父は高齢で、頼りにできるのは、近所に住んでいる友達だけでした。車はVWのバンに買い替えたばっかりでギアもバスのギアみたいでチェンジするのが大変だったし、夫の出張先はインドで、緊急でもこちらから連絡する方法がない(当時はインターネットや携帯もなかったので、あちらから連絡が来るのを待つのみ)。夫がインドから無事に帰ってくるかどうかも心配でした。
心臓バクバクの発作は夜になっても治まらず、2歳半の娘の手を左手で握り、右手を自分の心臓にあてて、深呼吸を続けて、やっと少し楽になって眠ることができました。
翌朝目が覚めた時には、心臓のバクバクは治まって、どうにか5週間を無事に乗り切ることができましたが、本当に無茶なことをしたものです。
英語のHeartとMindの両方を日本語では「心」と訳すことがありますが、英語では「ハート」は心臓のあたりで感じる感情的なこと、「マインド」は脳で行う思考や判断などのことを言います。
心が落ち着いているときには、心臓と脳、ハートとマインドがお互いにコミュニケーションを取りながら働いているのですが、精神的なストレスや肉体的な疲労などがあると、そのバランスが崩れることがあります。何か大切な判断をするときや、不安を感じるときなどには、そのバランスを取り戻すように、呼吸法や瞑想を行ったり、リラクセーションしたり、散歩して気分転換したりすることが大切です。