ヒプノセラピーと催眠療法の違い

「ヒプノセラピーと催眠療法ではどう違うんですか?」と訊かれることがあるのですが、私自身は、同じだと考えています。

私はオーストラリアでClinical Hypnotherapyの資格を取りました。これは、日本語に訳すと、臨床催眠療法、英語の発音のままカタカナにすると、クリニカル・ヒプノセラピーとなります。(臨床催眠療法と催眠療法の違いについては、以前に書いたブログ記事をご覧ください)

英語圏の国では、Hypnotherapy(ヒプノセラピー)という言葉しか使いません。

なので、「ヒプノセラピーと催眠療法ではどう違うんですか?」という質問の意味がわからなくて、ネット検索して調べてみました。

その結果私なりに得た結論(これはあくまでも私の推測です。間違っていたらごめんなさい)なのですが・・・

ヒプノセラピーという言葉は、1990年頃から、ブライアン・ワイス博士の「前世療法」が日本でも有名になったために知られるようになったのではないかと考えられます。日本で「ヒプノセラピー」というと、前世療法や来世療法、インナーチャイルド療法など、スピリチュアルな人たちが関心のあるセラピーが主に行われているのですが、それは、そのルーツが、ワイス博士あたりにあるからなのではないでしょうか。

それとは別な流れで、クリニカル・ヒプノセラピーが、心因性の病気の治療や悪い習慣をやめるための療法として、日本に伝わり、それが一般的に「催眠療法」と呼ばれるようになったのだろうと思います。

「ヒプノセラピー」と言っても「催眠療法」と言っても、どちらでもいいと思うのですが、その二つの呼び方があるために、いくつか誤解が生まれているようです。

ひとつは、「ヒプノセラピーはスピリチュアルな人たちの間で流行っている怪しいセラピー」というもの。

もうひとつは、「催眠療法は、催眠状態に誘導して暗示文を読むセラピー」というもの。

確かに、ヒプノセラピスト(催眠療法士)の中には、禁煙のための暗示文、体重を減らすための暗示文、快眠のための暗示文、という風に、いつも同じ暗示文を読むだけのセラピストもいるそうなのですが、私がトレーニングを受けた時には、先生が人間中心療法主義の先生だったこともあって、「既製の暗示文は絶対に使ってはいけない」と教わりました。

セッションをしている間にクライアントさんから得た情報をもとに、その人の問題解決のために最も適した暗示文をその場で考えるトレーニングを繰り返しさせられたんです。トレーニングを受けているときは、先生の厳しさに対して生徒たちがずっと不平不満を言っていましたが、実際にセラピーを行いはじめてみると、その重要さが身に染みてわかりました。

その先生は、「人には、自分で自分の問題を解決する力がある。潜在意識がそれを知っている。私たちセラピストが問題を解決するのではない。セラピストとしての仕事は、クライアントがその力に気づいて、自分で問題を解決できるようにサポートすることだ」と、繰り返し言っていました。

クライアントさんの持つ潜在能力を最大限に生かすためには、その人にピッタリの暗示文であることが大切です。